1 心不全モニタリング
心不全増悪を早期に発見し、入院・再入院を防ぐための一つの手段にモニタリングがあります。それぞれの疾患の経過や重症度を示す種々の医学的指標が存在しますが、心不全のモニタリングの場合、血圧、脈拍、酸素飽和度、体重等の医学的指標が挙げられます。また自覚症状は最もわかりやすい心不全の指標となりえます。心不全の場合、息切れ、呼吸困難、浮腫、食欲不振、倦怠感等です。これらを自分または介護者が記録していくことをモニタリングと呼び、心不全の兆候を早めに知り、早期に介入をすることで、心不全増悪や入院を防ぐことが可能となります。現在、本邦では、心不全学会が作成した「心不全手帳」を使用していることが多いです。また自治体によっては、この心不全手帳を模したオリジナルの心不全手帳を作成して利用しているところもあります。さらには、スマートフォンのアプリを利用して、ICT(情報通信技術)でこのモニタリングを行っているところもあります。現在、当ネットワークでもオリジナルのモニタリングを検討中です。
またこのモニタリングを医療従事者間で共有できれば、より便利でしょう。
2 地域医療連携について
心疾患、特に心不全に対する包括的疾患管理を急性期、回復期、維持期と継続していくためには、地域医療連携が必要となります。心不全ネットワークはこのような目的で設立しています。患者さんがかかりつけ医、主治医を必要とするのと同様に、診療所もある程度決まった基幹病院を持つことが大事になります。本ネットワークはその連携を少しでも行いやすくすることを目的としています。また時には、そのかかりつけにかかれない時も起こりえます。そのような時に連携が速やかに行くようなシステムを構築することも当ネットワークの役割です。
3 地域連携パス
高齢者の多い心不全診療を急性期、回復期、維持期とどの病院で受けてもある程度同じ内容で、同程度のレベルとなることも必要と考えます。地域連携パスによる共通した包括的疾患管理プログラムはこの目的のためのものです。現在、山梨県心不全療養指導士の会(*)で、この心不全診療のための共通の包括的疾患管理プログラムを作成中です。
*山梨県心不全療養指導士の会:日本循環器学会が、循環器病対策基本法の成立ののちに新たに心不全の診療を中心に行う専門職種として心不全療養指導士の資格を設けた。山梨県における心不全療養指導士の有資格者で構成された会。