1 紹介基準

一般診療所や循環器専門医が常駐していない病院においても、心不全の患者を診ることも今後は増えていきます。この時にどのようなタイミングで、循環器専門医に紹介すべきか、入院診療を要するか?を明確にすることも地域医療連携の役割です。これらを明確にし、指針を示すことが重要ですが、心疾患は多岐にわたり、容易ではありません。

以下に紹介の参考となる医学的指標を挙げます。

1自覚症状:
息切れ、呼吸困難、浮腫等は、心不全の症状となりえます。

2検査所見:
血液検査;
BNP/NT pro BNPは、心不全の指標です。
CKやトロポニンは、急性冠症候群の鑑別に重要です。

胸部X線;
肺うっ血、胸水、心拡大等は心不全の兆候です。

心電図;以下の所見は基礎心疾患の存在を示唆します。
一度、精査のできる基幹病院を紹介あるいは受診すると良いでしょう。
心房負荷、脚ブロック、ST低下あるいは上昇、陰性T波、高電位あるいは低電位

また症候性の心電図異常はすべて循環器専門医の受診が必要です、

*心エコー図:非常に低侵襲で、情報量の多い検査ですが、循環器系の診療所でも必ずしもあるとは限りません。また循環器系の精査で、心電図の次に行われるべき非常に重要な検査です。

3また代表的な紹介の基準を示します。

主な紹介基準

①急性心不全、急性冠症候群
これらは、いつでも基幹病院の受診対象となります。
急性冠症候群を疑う場合は、心電図を必ず記録してください。
山梨県統一の心電図転送システムを検討中です。

②心雑音
心雑音は基礎心疾患の存在を強く示唆します。
原因がわかっていない場合は、全例、精査対象です。
心エコー図検査が必要となります。

③心房細動
心房細動は対応の選択肢が多様化しました。無症状でも一度、不整脈専門医のいる基幹病院で診てもらうことをお勧めします。日本循環器学会の現在の推奨を示します。

代表的な紹介の基準

*カテーテル焼灼術の適応、手技は確立し、適応は拡大しています。
*年齢、心房細動の持続時間、心電図上のf波の振幅等が成功率や適応の参考になります。

左房のサイズ(一般的には2Dでの前後径)等で検討

*術者、施設により異なる考え方
*迷われるようであれば、一度、ご相談を
*症例により、経皮的左心耳閉鎖術も考慮

④特殊疾患

2 心不全相談

心不全やその他の心疾患に関する相談を受け付けます。
確定診断、処方内容、紹介すべきか否か、今後の方針等、急ではないが、ちょっと聞きたいという場合の相談です。
なお緊急での診察依頼等は最寄りの基幹病院に直接、電話でご相談ください。

相談の方法をいくつか検討中です。